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私はいくら借りられる?
年収から考える住宅ローンの借入額

住宅の購入を検討する際に、気になるのが住宅ローンの借入可能額です。ご自身の年収を基準に考える人も多いのではないでしょうか。本記事では、年収に対してどの程度ローンの借り入れが可能なのかについて説明します。あわせて、無理がない借入額はどのくらいなのかも考えていきましょう。


目次

  1. 住宅ローンは年収の何倍借りることができる?
  2. 適切な住宅ローン借入額を考えよう
  3. 年収が低い場合の住宅ローンの借り方について
  4. 毎月の返済額の目安も考えておこう

住宅ローンは年収の何倍借りることができる?

住宅ローンで借り入れできる金額は、「金利」「借入期間」「ほかの借入状況」などのさまざまな内容から複合的に判断されます。そのため、年収がいくらあれば、いくら借りられると単純に計算できるものではありません。しかし、やはりわかりやすいのは「年収の何倍程度か」という目安でしょう。

そこで、参考になるのが「住宅を取得した人たちが世帯年収の何倍の物件を購入しているか」という購入価格の水準です。住宅金融支援機構が公表している「2020年度 フラット35利用者調査」によると、購入した物件の平均価格は、年収に対して次の倍数となっています。

  • 土地付注文住宅:7.4倍
  • マンション:7.0倍
  • 建売住宅:6.8倍
  • 注文住宅:6.7倍

例えば、年収500万円の人の場合、土地付注文住宅なら購入価格は3,700万円(500万円×7.4)、マンションなら3,500万円(500万円×7.0)が目安です。


適切な住宅ローン借入額を考えよう

近年は、「頭金を入れなくても住宅ローンを借りられる」という話を耳にしたことはないでしょうか。「年収の7倍程度だから借りられる」と安易に考えず、必要かつ返済可能な借入額についてはしっかりと考える必要があります。

先のデータはあくまでも住宅購入に要した資金額で、住宅ローンを借り入れた金額ではないからです。なかには、ほとんど頭金を入れていない人もいるでしょう。しかし、頭金を多めに入れた人もいるかもしれません。これら多くの平均ですから、必ずしも自分の世帯に当てはまるとは限りません。

一般的に、住宅ローンの借り入れは、購入金額や建築費の80%程度までが目安といわれています。しかし、「借り入れできる金額」と「返済していける金額」は別物です。自分にとって、適切な住宅ローン借入額を割り出すことが大切といえるでしょう。


毎年の住宅ローン返済額の目安

ひとつの目安として「年間の住宅ローン返済額が年収に対して何%になるか」を考えてみましょう。これを返済負担率といいます。一般的に、住宅ローンの年間返済額は年収の20~25%程度におさえることが理想といわれます。

例えば、年収500万円で年間返済額が年収の25%の場合、年間返済額は125万円、20%に抑えると年間100万円となります。年間返済額を12で割ると1ヵ月あたりの返済額を割り出すことが可能です。

毎月の返済額に換算することで、家計を圧迫しないかどうかを判断しやすくなるでしょう。

年収 年間返済額の目安
(返済負担率20~25%の場合)
月額に換算すると……
(ボーナス払いなしの場合)
400万円 80万~100万円 約6万6,000~8万3,000円
500万円 100万~125万円 約8万3,000~10万4,000円
600万円 120万~150万円 約10万~12万5,000円
700万円 140万~175万円 約11万6,000~14万5,000円
800万円 160万~200万円 約13万3,000~16万6,000円

適切な年間返済額(毎月の返済額)を把握しておくと、返済期間や金利などから逆算し、住宅ローンの借入可能額の目安を出しやすくなります。


住宅ローン借入額は年収以外のことも考慮しよう

住宅ローンは、20~30年と長期にわたって返済し続けるものです。その間に必要となる資金の準備ができるかどうかも考えなければなりません。年間の返済額を年収の20~25%とした場合でも、本当に無理なくその金額を返せるのか考えてみましょう。

例えば、老後資金や教育費、または病気などの万が一の場合に備えて現金を確保しておくことも必要です。ほかにも、車の買い替えや、住宅のメンテナンスなどにお金がかかるようになるかもしれません。

世帯全体のライフプランや購入後の住居のことも考えながら、住宅ローン返済以外の資金確保もできるように「いくら借りていいか」を考えましょう。


年収が低い場合の住宅ローンの借り方について

このように考えていくと、年収が低いと希望金額の借り入れが難しくなるだけでなく、住宅購入をあきらめなくてはならないと考える人もいるかもしれません。ここでは、年収が気になる人が住宅ローンの借り入れをするための方法を紹介します。


ペアローンを検討する

共働きをしている人であれば、「ペアローンを組む」という方法もあります。ペアローンとは、一定以上の収入がある夫婦(または親子)で一緒に住宅ローンを申し込み、それぞれに別々に住宅ローン契約をする方法です。

1人分の借入額は低めでも、2人分を合わせることで希望額に到達できる可能性があります。夫婦でペアローンを組む場合、住宅ローン契約は各人名義の2本となるため、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることが可能です(住宅持分に応じます)。

また、団信(団体信用生命保険)も各人が加入できるなどのメリットがあります。しかし、諸経費(登記費用など)などは2本分かかる点は注意が必要です。また、各人の借入額と住宅の持分が等しくない場合、贈与税が課税される可能性があるため、借入額の割合は注意しましょう。


収入合算を検討する

「収入合算」を利用することも方法の一つです。収入合算を利用すれば、住宅ローンの申し込み・契約自体は夫婦(親子)のどちらか一方が行いますが、審査の対象となる収入を申告する際、夫婦の収入を合算して審査を受けることができます。

収入合算では、ペアローンと異なり住宅ローン契約が1本のため、諸経費が1本分ですむのがメリットです。ただし、例えば「収入合算者の年収50%まで」など合算できる金額が金融機関ごとに決められています。

例えば、夫が年収400万円、妻が年収250万円という夫婦の場合、2人合わせて650万円とはなりません。収入合算者の年収50%までの場合であれば「夫400万円+妻125万円=525万円」または「夫200万円+妻250万円=450万円」となります。

収入合算の場合は、住宅ローン控除も住宅ローン契約をするどちらか一方のみしか受けられないため、夫婦の収入状況に応じて検討するようにしましょう。


自己資金を多く準備する

「年収が低いから多く借りられない」と嘆くのではなく、年収が低めだからこそ借入額を抑えて無理のない返済を目指すことを意識しましょう。一般的に、頭金の相場は住宅購入価格の20%程度といわれています。

借入額をより抑えるためには、自己資金をより多く準備しておくのが理想です。住宅購入時には購入価格の5~10%程度の諸費用もかかります。必要資金の25~30%以上は自己資金として準備しておくことが望ましいでしょう。

例えば、住宅価格が3,000万円であれば自己資金は750万~900万円(3,000万円×25~30%)以上です。とはいえ、頭金や諸費用の支払いで貯蓄を使い果たしてしまうと、後々まとまった資金が必要になるときに困る可能性もあります。

そうならないためにも、住宅購入価格を下げるなどの工夫もしながら、借入額や自己資金、貯蓄の適切なバランスを考えましょう。


ほかの借り入れを完済してから申し込む

住宅ローン審査では、ほかの借入状況についてもチェックされ、すでに借り入れしている金額も合わせて年収に対する借入額や年間の返済額を審査されます。例えば、カードローンなどを借りている場合は、借入可能額が少なくなる可能性があるため、それらを完済してから申し込むことも検討しましょう。

また、住宅ローンの審査の際は、これまでの借入に延滞がないかといった返済履歴も確認されます。そのため、住宅ローンの申し込みをする前に、過去の返済履歴をチェックしておくことも大切です。


毎月の返済額の目安も考えておこう

住宅ローンは、自分の希望通りの金額が借り入れできるか気になる人が多いかもしれません。しかし、何よりも大切なのは完済まで毎月きちんと返済を続けることができるかです。先に、年収に応じた毎月の返済額の目安について説明しましたが、金利や借入年数、返済方法などのさまざまな内容で毎月の返済額は変わります。

多くの金融機関のホームページにあるシミュレーションでは、借入額や金利、借入年数から毎月の返済額の目安が確認可能です。いくつかのパターンでシミュレーションして、返済額のイメージをつかんでおきましょう。


まとめ

住宅ローンでいくら借り入れできるかを考えるときに目安の一つとなるのが年収です。ただし、「年収の何倍まで借りられるか」といった視点にばかりとらわれず、年間返済額が年収の20~25%程度に収まることを基準に借入可能額を検討しましょう。

また、教育資金や病気・災害時に必要になるお金など、住宅ローン返済以外の資金確保も検討しておくことが必要です。長いライフプランをイメージしながら、無理なく返済できるような借入額を検討するようにしてください。

◆氏名
續 恵美子(つづき・えみこ)

◆保有資格
日本FP協会認定CFP(R)

◆プロフィール
生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指し退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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