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勤続年数が短く住宅ローンを組めるか心配……
こんな時はどうしたらいい?

住宅は多くの人にとって人生で最も大きな買い物といいます。定年後まで返済を続けるよりも、できるだけ若いうちに住宅を購入し、早めに住宅ローンの返済を終えたいと考える人も多いでしょう。しかし、勤続年数が短い時点で住宅ローンを申し込んでも、「審査は通るのか」と不安に思う人もいるかもしれません。

本記事では、住宅ローン審査で勤続年数がどの程度重視されるか、何年程度の勤続年数が求められるかなどを調査データにもとづき解説します。あわせて、勤続年数が短くて不安な場合の対策法も紹介しています。


目次

  1. 勤続年数と住宅ローン審査の関係
  2. 審査基準は金融機関によって異なる
  3. 勤続年数が短くても審査にマイナスとならないケースも
  4. 勤続年数が短い場合の対処法

勤続年数と住宅ローン審査の関係

住宅ローンの申し込みをすると、必ず金融機関側で審査が行われますが、実際の審査で勤続年数と審査は、どのような関係があるのでしょうか。一般的に、金融機関によって審査基準は異なり、審査内容に関しては公表していません。

しかし、国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」から審査内容を考察することは可能です。同調査によると、「住宅ローン審査において勤続年数を考慮する」と回答した金融機関は調査対象の95.3%(2020年)でした。

つまり、ほとんどの金融機関は住宅ローン審査で申込者の勤続年数をチェックしていることがわかります。同調査は、毎年行われており2018年95.7%、2019年95.6%と、どちらも95%超です(複数回答)。

これらを踏まえると、勤続年数は住宅ローン審査で重要な項目のひとつとわかるでしょう。


審査基準は金融機関によって異なる

なかには、「勤続年数が短い場合は審査に不利になるのでは?」と考える人もいるかもしれません。そこで、審査で勤続年数を考慮する金融機関が、何年程度の勤続年数を求めているのか、具体的な年数を見てみましょう。

下図は、前出の調査より、勤続年数に関する回答をグラフにしたものです。

出典:国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」を元に筆者作図

これを見ると、2年以上、3年以上とする金融機関や、その他と回答する金融機関は少なくありません。しかし、過半数の金融機関が1年以上と回答していることから、勤続年数が短いからといって審査に通らないと一概にはいえないでしょう。

とはいえ、審査基準は金融機関ごとに異なります。具体的な年数は、あくまで参考程度に留めておいてください。


申込条件は金融機関ごとに違う

同じ金融機関でも、申込者の就業状況によって必要とする勤続年数を分けている場合もあります。例えば、給与所得者の場合は勤続1年以上を要件とするけれども、自営業者など給与所得者以外の人には営業(勤続)3年以上を要件とするといったケースです。

申込条件として、あらかじめ勤続年数が指定されている場合は、要件を満たさないと審査にも通りません。しかし、住宅ローン審査は勤続年数だけではなく、年収や年齢、返済負担率など、さまざまな項目を総合的に判断して可否の決定が行われる点も知っておきましょう。

しかし子どもの塾の費用や、マイカー購入によるローンなどで毎月の支出が増えた場合に生活費に支障がないかなど、よく考えてから実行することが大切です。


勤続年数が短くても審査にマイナスとならないケースも

なぜ勤続年数が短いと審査で不利になる可能性があるのでしょうか。その理由を考えるために、勤続年数が短い事情を大きく以下の2つに分けて考えてみます。

  • 初めての就職で、入社からあまり年数が経っていない
  • 転職をして間もない
  • 初めての就職で、入社からあまり年数が経っていない
    一般的に、初めて就職した場合は、20歳前後で年収も低めです。今後、結婚や育児、教育などのライフイベントで支出が増える可能性があるため、金融機関は数十年にわたり返済を続けていけるかなど、より慎重に審査を行うことが考えられます。
  • 転職をして間もない
    一般的に、転職してすぐの場合は、年収が不安定とみなされる場合もあるため、マイナス要因のひとつです。しかし、社会人としての年数が長かったり、キャリアアップや収入アップなど前向きな転職であったりする場合は、審査にマイナスの影響を与えない可能性もあります。

勤続年数が短い場合の対処法

勤続年数が短いだけで、審査に不利かどうかは一概にはいえません。ただし、上述した通りほとんどの金融機関が審査で勤続年数を重視しています。勤続年数が短い人は、どのような対策を講じればよいのでしょうか。ここからは、勤続年数が短い場合の3つの対処法について解説します。


勤続年数が短くても申し込み可能な金融機関をえらぶ

勤続年数が短くても問題ない金融機関で住宅ローンの申し込みを検討しましょう。「どの金融機関が対象かわからない」といった場合は、金融機関のホームページなどで、住宅ローンの申込条件をチェックしてください。

例えば、「勤続年数○年以上」と記載されている場合は、できるだけその年数が短い金融機関を選ぶのがいいかもしれません。一方で、申込条件として勤続年数を記載していない金融機関もあります。

この場合、「審査時に考慮はするが、条件ではない」と考えることもできるため、勤続年数を条件に記載していない金融機関を選ぶのも対処法のひとつです。


勤続年数以外の条件を良くしておく

住宅ローン審査では、勤続年数以外にも重視される項目がたくさんあり、総合的に融資可否の判断が行われています。そのため、勤続年数以外の項目を意識することも必要です。
勤続年数以外の条件としては、例えば「返済負担率」「信用情報」などがあります。

  • 返済負担率
    年収に対する年間返済額の割合です。簡単にいえば「収入と返済額(借入額)のバランス」です。返済負担率が高い場合は、返済困難になるリスクが大きくなるため、返済負担率はできるだけ低いほうがよいでしょう。

    年収によって異なりますが、返済負担率を下げるためには、借入希望額を少なめにしておく方法があります。また、返済負担率を計算するときの借入額は、新規申込額だけでなく既存の借入額も含めるため、注意が必要です。

    カーローンやカードローンなど他の借り入れがある場合は、それらを返済してから住宅ローンを申し込むと、返済負担率を下げることができます。

  • 信用情報
    すでに借り入れしているローンや、クレジットカードの支払いなど、個人信用情報機関に登録されている情報です。住宅ローン以外でもローン申し込みの際は、審査の際に信用照会で登録情報を確認されるため、延滞などの情報があれば審査にマイナスの影響を与えかねません。

    他に借り入れがあったり、クレジットカードを頻繁に利用したりしている人は、日ごろから延滞しないようにきちんと支払うことが大切です。不安な場合は、住宅ローンの申し込みをする前に、自分で個人信用情報機関へ開示請求をしてみてもよいでしょう。1社あたり1,000円程度で確認ができます。


フラット35を利用する

フラット35は、勤続年数の条件がありません。そのため、勤続年数の短さが気になる人は、フラット35を利用するのもひとつの方法でしょう。フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。

借入期間の全期間にわたって金利が固定されているため、借り入れ時点で総返済額が確定します。将来的に金利が大幅に上昇したとしても、総返済額が変わってしまう心配がありません。

ただし、変動金利に比べると金利が高めです。金利の高低は返済総額に影響するため、利用する場合はしっかりと検討して申し込みするようにしましょう。なお、先述したように、住宅ローンの審査はさまざまな項目を確認し、総合的に判断されます。

そのため、勤続年数の条件がない場合でも必ず審査に通るとは限りません。金融機関側が審査で勤続年数を重視しているのは確かですが、他の申込条件も押さえておきましょう。


まとめ

勤続年数は、住宅ローン審査で重要視される項目のひとつですが、審査基準は金融機関によって異なります。勤続年数が短くて住宅ローンの申し込みが不安な人は、申込条件に勤続年数の記載があるか確認しておきましょう。

住宅ローンの申し込みはできるだけ自分の状況に合いそうな金融機関で申し込みをするのがおすすめです。ただし、勤続年数が短い状態で申し込みできる住宅ローンがあったとしても、確実に借り入れできるわけではありません。

実際の審査は、総合的に判断されるため、信用情報を悪く評価されないことはもちろん、返済能力を高めるための対策をしておきましょう。

◆氏名
續 恵美子(つづき・えみこ)

◆保有資格
日本FP協会認定CFP(R)

◆プロフィール
生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指し退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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